地球規模で環境破壊が進むなかで、野生動物の宝庫アフリカでも、ゾウやサイに続いてアフリカスイギュウもやがて希少動物になるといわれています。
また、南アフリカのクルーガー国立公園とその周辺で、「口蹄疫(こうていえき)」(ウイルスによる偶蹄類の急性熱性伝染病)が流行し、野生の偶蹄類の95%が潜在的にこの病気にかかっているといわれ、アフリカスイギュウにとっては、大変な危機的状況といえます。
そこで、南アフリカ共和国政府の指定をうけた民間機関が、現地に保護区をつくり、世界各地から病気をもっていないアフリカスイギュウを集めて繁殖をすすめる計画が立案されました。
この計画に当園も賛同し、25頭(オス7頭、メス18頭)を無償で提供することに決めました。
検疫開始
南アフリカへ送るアフリカスイギュウが病気を持ってないことを証明するために、動物を隔離して、結核検査や血液検査などの検疫検査を行わなければなりません。検疫期間は1か月間と決められており、1993年11月13日から行いました。

検疫検査風景
予備も入れて、34頭を対象とし、全頭を一日で麻酔し、採血・検査を行いました。採取した血液の検査は、日本のほか、南アフリカやイギリスでも行われました。
また、輸送用の檻は1台に5頭入れるため5台、これとは別に餌用コンテナを1台用意し、30日分の餌として、乾草6トン、草食動物用の餌2.7トンを用意しました。
選別と追い込み
1か月の検疫期間が終了した12月15日、アフリカスイギュウの25頭の選別し、餌でつったり、広げたシートで追ったりして一日がかりで25頭を輸送檻へ追い込みました。

コンテナに収容されたアフリカスイギュウ コンテナの移動
12月16日の未明に当園を出発したトレーラーは、朝方、横浜港へ到着しました。航海中の世話をしてくれる南アフリカの世話係への引継も終わり、準備は完了です。
船積み、出航
12月17日午後から船積みが始まり、25頭のアフリカスイギュウを乗せた船は夕方6時に、横浜港から南アフリカへ向けて出航しました。

船への積み込み 船上のコンテナ
無事到着
1994年1月20日、南アフリカから25頭すべてが元気に到着したとの連絡がありました。その後、現地での1か月間の検疫をすませて、アフリカスイギュウたちは保護区へ放されました。
これまで、アメリカなどから集められた75頭に、当園からの25頭を加えた100頭のアフリカスイギュウがここで生活しています。南アフリカの広大な大地で新しい群れをつくり、種の保存のために現在も活躍しています。
